古代ギリシア

古代ギリシア

元素という言葉は後年に作られた為、ギリシア時代には存在しないが、ギリシャ哲学では万物の変化・流転は一大命題として扱われ、多くの哲学者により万物の構成要素として元素の概念が論ぜられた。
タレスは万物の根源にアルケーという呼名を与え水であるとした。
その他、空気であると考えた人、火であると考えた人、土だと考えた人がおり、それぞれがアルケーであるという立場を採った。
エンペドクレスはアルケーが、火・空気(風とも)・水・土の4つのリゾーマタからなるとする後世にいう四元素説を唱えた。
プラトンはこれに階層的な概念を導入し、土が正六面体でもっとも重く、他のリゾーマタは三角形からなる正多面体で、火が最も軽いリゾーマタであり、これら四大元素はそれぞれの重さに応じて運動し互いに入り混じると考えた。
なおプラトンの作かどうか疑問視されている著書では、4つのリゾーマタに加え、天の上層を構成するとしてアイテールが導入されている。
紀元前350年ごろ、アリストテレスは四元素説を継承した上で、4つのリゾーマタは相互に変換できるものと考え、また天上にのみ存在するアイテールを4つのリゾーマタの上位リゾーマタとして立てた。
アイテルを語源とするアイテールは、のちの自然学における第五元素(ラテン語のquinta essentia。
なお英語の quintessence (「真髄」 の意)の語源でもある)とされ、宇宙を満たす媒質エーテルの構想へとつながっていく。
アリストテレスと同時代のデモクリトスは、無から発生し、再び消滅する究極微粒子(アトム)から万物が構築され、その構造的変化が物性の変化となると論じたが、彼のアトム論は発展を見ることは無く、ヨーロッパにおいては四元素説がスコラ哲学へと継承されてゆくことになる。

古代インド

古代インド

古代インドの哲学者・思想家アジタ・ケーサカムバリン(パーリ語読みの人名。
仏典の中に仏教より劣る思想家・哲学者として紹介されているものとしてしか名前が残ってないので正確な言い方・発音は不明)は「『存在』を構成するものは、地・水・火・風の四大であり、この四大以外にはない」という論を主張した。
また、パクダ・カッチャーヤナは「人間のからだは地・水・火・風・苦・楽・霊魂の7つから構成されている」、マッカリ・ゴーサーラは「生きているものは、地・水・火・風・苦・楽・霊魂・虚空・得・失・生・死の12の要素から構成される」と主張した。

古代中国

世の中は「陰」と「陽」(つまり「闇」と「光」)から成り立っていて(陰陽思想)、更に「木」「火」「土」「金」「水」の5要素(五行)に分かれていると考えた(陰陽五行説)。
インド哲学の諸論争や古代中国の陰陽五行説をみてわかる通り「物質を構成する基本的な成分がある」、という考え方は「『世界』というものに対する人間の一つの哲学的・思想的・宗教的態度」でもある(西洋科学の実験の積み重ねを否定するものではない。
ようするに実験の積み重ねが不十分な時点での西洋科学の「元素」説は「事実」より「哲学」や「思想」、「世界論・宇宙論・世界観」に近いと言う事)。

古代中国

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